2010年10月2日土曜日

失われた美しいもの

美しいものを見たい

懇意にしていただいている真美弥さんに教えていただいて

滋賀の石山にあるMIHO MUSEUM
お天気に恵まれたこの日、

美術館までの風景は、刈り取りが終わった田んぼが

どこまでもどこまでも穏やかに続き、

私の心を和ますものになった。


到着して、さっそく話題になった、おむすび膳をいただいた。

どれもがとても丁寧に作られている食材、味も絶妙だった。

なんてことはない普遍的なメニューを奇を衒わず、丁寧に作り、

そして美しく盛り付けする。

来館したお客様に元気になってもらうように食べてもらう


実に手間と暇がかかった贅沢な料理である


生産者から、料理する人まで、一貫した考えがあるのだろう。

根来塗りのお椀に入れられたお味噌汁は、とても美味しかった。

日本各地から厳選した3種類のお味噌汁が

複雑なハーモニィを奏でお腹に染み渡った。


食事を楽しんで済ませ、ゆっくりと歩きながら美術館へ


今日の目的は、ただただ、少庵井戸茶碗 

千利休が所持し、豊臣秀吉 そして少庵、

そして表千家へと受け継がれた貴重なモノ


焼き物のことは、何も分からない私、だけど美しいものは大好き

いつも優しく私を教え導いてくれる、

大好きな尊敬する真美弥さんが絶賛する

お茶碗って、どんなのだろうか?と思った。


そして、そのほんの少し前に、幸運にも赤木明登さん

少しお話する機会があり、話題に出た美術館でもあったのも

今回訪問する大きなきっかけだった。



茶室を模した展示室でゆっくりと、丁寧に拝見させてもらった。

井戸茶碗は、お茶を入れた時の色合いが、とても美しい。


このお正月に拝見したスペシャル番組、海峡を越える国宝では

井戸茶碗が生産された当時の朝鮮では、透明感のある色合いや

均整のとれたものが好まれるため、白磁や青磁が主流で

そのため残念ながら、生活雑器である井戸茶碗は衰退し、

製造は途絶えたそうだ

今では、ほとんどない現存しないそうだ。
(リュ・シオン本人の話では家には、普通にゴロゴロあるらしいけど)


日本人がより使うということを前提に、

完成されてない美しさを見出した、このお茶碗は

大陸にはほとんど残らず、日本人が使い続けることで

日本で残るという不思議な運命を辿る。


その井戸茶碗が、時を超え、今復刻しようとしている

一度途絶えてしまった技術を復活させるには、大変な労力がいる

その中で一番難しいのは、

完成されたものの、向こうにあるものだそうな。


拝見させてもらったそのお茶碗は、なんともいえない存在感で

ゆったりとその空間にあった。  

昔よりは、いくらか文明や技術が発達した今の世の中でも

復元出来ない、物凄いモノが、そこにあったのだ。
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